卒業研究展2021 卒業研究展2021

仁愛女子短期大学

卒業研究内容

14.忘れないデザイン

傘を忘れなくする研究
松井 愛花

01.きっかけ

皆さんは「忘れるならランドセルに括り付けておけ」という言葉を聞いたことがありますか。
習字道具や絵の具セットを忘れた時に聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
皆さんはこの言葉を聞いた時、どう思いましたか。

当時の私は「いやだ」と思いました。 ですが、よく考えれば効果的な提案でしょう。
ではなぜいやだと思ったのでしょうか。
答えは単純「ダサいから」
他にも理由はありますが、なんといってもこのダサさが目立ちます。
もし根本の問題が「ダサい」だとすればデザイン次第で解決できるのではないでしょうか。
長くなりましたが、この研究を始めたきっかけは忘れ物の多い私が「デザインで忘れ物をなくしたい」と思ったことです。

02.調査
「忘れないようなデザインを作ろう」と思いたったはいいものの、忘れやすいものはたくさんあります。 そこで私はどれか一つに絞るためにランキングを調べ、最も多かった傘を選びました。

次に傘忘れ防止アイテムを調べました。 スマートフォンに頼ったシステムが多く、 私の望む、電理想は老若男女問わず使える電気を使わないデザインのものはあまりありませんでした。 「忘れることの対策」というものはあまり前例がなく、難しいのではないかと考えられます。嘆いていても仕方がないので早速案を練りました。 「お出かけ時、傘は常に自分のそばに置いておく」ことを想定し、それに有効そうなものを手当たり次第作っていきました。まずは昔先生に言われた通り、自分のカバンに括りつける方向で作ってみました。

03.アイディア評価

作った作品は「機能性」「見た目」「手軽さ」「わかりやすさ」の四つの項目に分け、5段階に評価し総評ました。「機能性」は忘れないかを、「見た目」は装着してダサくないかを、「手軽さ」は気軽に装着できるかを、「わかりやすさ」は一目見て使いかたが分かりやすいかを評価しています。アイディアだけのものも、想像で評価しました。多くなったので、5つのカテゴリーに分けて紹介します。

04.作品紹介
双子型

双子型は「マグネットツインズ」「ティリンツインズ」の二つ。 両方とも「なるべく目立たないものがいい」という思いから生まれました。マグネットツインズはカバンと傘にマグネットを仕込み、手放すときにくっつけておくことにより、 簡単に忘れ防止できます。 ティリンツインズはアイディアだけのもので、 左上の絵は腕輪になっており、鈴の中の玉は磁石にくっつくようになっています。 傘には磁石がついたバンドをまくことで、持ち歩くときは鈴がならない仕組みです。

束縛型

鞄と一緒にすることで忘れ物を防ぐ束縛型。
カバンとセットにする考えからバインドマン、真バインドマンが完成。 横に並んだスナップボタンで傘を束縛します。カバンでなく、腰にベルトで巻き付けることによって傘を安定させたコシマキ君。下にあるカバーにより、傘との接触部は濡れないようになっています。歩く分には問題なしです。いずれも自分から離れることはないので機能性がピカイチですが、 手順が多く、取り付けるのをサボって最終的に忘れてしまうという事態が発生しました。

カバー型

濡れないようにしたカバー型 。ばななんは試しに作ってみた傘カバー。完成がバナナみたいになってしまったことでこの名前になりました。これをもとにカバー型を考えていきます。

背負ってみたのが「ザ・ビハインド」。使用しないときはカバンにしまうと想定をしていたのですが、長すぎて絡まってしまいました。絡まらないようたたんでおけばいいのではという考えの元に作ったのが「コンパクトスネーク」。決まった位置に折らなければ紐がちょうどのところに来てくれませんが、柄次第でどうにかなりそうです。手順は束縛型より単純になりましたが、動作が大きく、装着するのが億劫でした。

カチッと型

掛けた時にかちっと音が鳴るカチフッカー。カバンには大体金具がついており、そこにフックを引っ掛けて使います。カチリールはその名の通り、リールでつながれており、自由に動かせるのでどこでもかけておけます。 繋がれているため忘れることはなく、邪魔な時はリングにかけておけます。 ハングリンはカバンに着けて、傘が煩わしくなった際、穴に傘の取っ手をくぐらせます。どちらも短時間で装着できるので扱いやすくなりました。また、今回の研究からずっと装着しなくても忘れ物は防げることが分かりました。

主張型

アテンションリーダーは傘の取っ手に目立つものを付けたら、ファッションスターは傘の取手に目立つ色をあわせたら、スマートセッターは斬新な傘の立て方をしたら目立って意外視線がいくのではないかという案から生まれたものです。 結果はそこまで視線がいかず、「あってもなくても」気にならない印象です。

今度は視覚的に情に訴えようとしたのがこの四つ。バッグハンガーに少し手を加えたクラッシュドマン。 傘を留めるくぼみにクッション性の顔のあるシールを貼ることで傘を置いた際の最悪感から傘を忘れにくくできるのではないかという案です。また、普通のステッカーでもできるのではないかと、寂しがり屋のセリフが書いてあるにーディガール、自分が顔を記入する百面フレンズ、ずっと見つめてくるいつも隣のドライアイといった案を出しました。しかし、一部だけではあまり強調されないため、カバーにしてみました。 ドライアイは人間の本能のような部分があるのか、主張型の中で一番忘れなかったです。

05.結果と分析

今回の調査で16点以上だったものは4点。いずれも傘を手放す瞬間に着目した物で、機能性は束縛型と比べ劣るものの手軽さで巻き返しました。

06.まとめ
この研究を通して分かったことは、どんなものでもまず「使わないと意味がないこと」、 「ずっとくっつけておかなくても忘れ物は防げる」ということです。複雑な手順だったり、傘を 携える時の動作が大きかったりするとまず「使おう」という気になれず、防止アイテムをサボってしまい最終的に忘れることに発展してしまいます。また、無理に傘をくっつけておかなくとも、 手放さない間は傘を紛失することがほとんどないので、ずっとくっつけておかなくてもいいことがわかりました。

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